今までのシリーズと同じだと思っていると期待ハズレになる映画で、軽い雰囲気やリズム感はほとんど感じられず淡々と物語が進んでいったのが印象的だった。
ストーリーとしては、室井が捜査の責任を問われ逮捕されるところから始まり、警察庁と警視庁の対立の中でもがく室井を描くもの。 今のところ、これまでのシリーズと比べてあまり評判は良くないらしい。これはシリーズ特有のリズムを排しているところに最大の原因があるのではないだろうか。「交渉人」のスピード感を活かす演出と対照的に、「容疑者」ではゆっくり描き出すことで室井の人間性を引き出そうとしている。しかし観ている方はその違いに戸惑ったのかもしれない。従来のものとやり方を変えてきた点ではスピンオフ作品らしく、プラスに評価できないこともない。これからの方は「踊るとは違うぞ」と言い聞かせてから観ると多少ズレが緩和されるかも。 もう一点は重要な対立軸の一つである警視庁と警察庁の違いが分かりにくかったことだ。両者は名前もやることも一見似ているので、どこかがどう違うのかが分かりにくい。「交渉人」は専門用語や知識をスライドにして説明させる場面を作ったり、地下鉄の走路を図で分かりやすくしていた。「容疑者」も同様の場面を作ってほしかった。セリフだけで理解するのには無理がある。 そして最後の一点はラストの展開。室井が自ら動いたわけでもなく、周りの力によって事件が解決することになる。その人たちを動かしたのは室井のおかげだと言われてしまえばそれまでだが、「室井の勇気」を描くならば最後ぐらい本人がキメても良かったのでは。 ひとことで言えば「良質な2時間ドラマ」。 「踊る」ファンなら必見ではあるが、それ以外の方にオススメしようとは思わない。 まあ、シリーズ作品全てが傑作なわけはないのでしょうがないかなとも思う。今までのものが良く出来過ぎていた。
by daisuke-k-20
| 2005-09-16 14:22
| 雑記
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